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25.11.30

ヤムナ・ゼイク女史来日! 股関節に関する特別プログラムのトレーニングを実施しました。 

ヤムナの創始者、ヤムナ・ゼイク女史が久しぶりに来日しました。11月6日から9日までの4日間、プラクティショナー向けに「股関節置換手術の準備とリハビリに特化したプログラム」という特別トレーニングを実施。ヤムナ女史に、その内容についてインタビューしました。
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text_Ken Ishida

――今回のトレーニングは、ヤムナさんご自身が「股関節置換手術」を経験する中で得た知見のすべてをまとめた新たなプログラムということですが、公開して間もないものでしょうか?

ヤムナ:昨年にフロリダで1回、今年、イビサ島で1回実施しました。日本では初めて行うものです。

――ヤムナさんが「股関節置換手術」を受けたのはいつでしょうか?

ヤムナ:3年半前です。

――左右どちらの置換手術を受けたのですか?

ヤムナ:左側です。

――置換手術を受けることになるまでの経緯を教えてください。

ヤムナ:元々、娘のヤエールを出産した時に左の股関節を痛めました。整形外科を受診してもなかなか回復に向かわないので、独自の考察を重ねて生まれたのがヤムナメソッドの原型なのです。左股関節については、そのメソッドを実践して、長年、自分で調整してきました。ところが、5年程前にスペインのある場所に聖地巡礼で向かう時、長い距離を歩いている途中で濡れた泥状の道で足を滑らせ、崖のような傾斜を滑り落ちてしまいました。膝、足首が腫れて、テーピングを施しました。かなり痛めた感覚があったのですが、翌朝、2時間ほどボディローリングのメソッドで調整したところ歩けたので、そのまま残りの20kmくらいを歩いてしまいました。

――痛めた状態で、そんなに長い距離を歩いてしまうとは、凄いですね。

ヤムナ:皆さんには、そんなことはお勧めしません。自分にとって大切な聖地巡礼だったので、歩いてしまったのです。その後ニューヨークに戻り、しばらくの間は、それほど悪くない感覚でいたのですが、結局、左股関節の奥に炎症を起こし、ある日、自宅で身体の調整をしている時にギクっと決定的に痛めました。

――それで、すぐ手術をしたのですか?

ヤムナ:そこから、時間をかけて何人かの整形外科医に診てもらいました。ニューヨークの医師は「手術をしても、可動域に制限ができて、膝を抱えることはできない」という診断をしました。最終的には、ベルギーの医師に手術をしてもらいました。彼は「手術後、360度、本来の可動域まで動かせるようになるでしょう」と言ってくれて。名医として、かなり著名な方です。

――今回のプログラムの概要を教えてください。

ヤムナ:大きく、次のようなテーマに分類しています。
●術前にどのような準備が必要か
●術後の回復をどのように安全かつ効果的に導くか
●股関節にまつわる幅広い問題に対するヤムナメソッド独自のケア方法

――ヤムナさん自身が体験したこと、実践して新たに知り得たアプローチ法、教訓などがたくさん詰まっているとのことですが、プログラム全体の中で、重要なポイントを教えてください。

ヤムナ:特に強調したい重要ポイントは4つあります。まず最初に挙げたいことは、整形外科医や理学療法士は「弱まってしまった患部の側の脚、股関節周りを強化しなさい」と指示しますが、そこで認識してほしいことがあります。弱まった側の脚を一生懸命トレーニングしているつもりでも、強い側が弱い側の代わりに働いていて、弱い側はほとんど運動を行っていないことに気がつきました。弱い側の筋力、機能を向上させようとする時には、強い側を完全にブロックしてトレーニングを行わなければなりません。医師や理学療法士の方でも、このことを理解していないケースは多いと思います。今回のプログラムでは、ゴムバンドを使って股関節の動きを確認、修正、強化する方法を提示しています。

――人間の身体は、どこかを傷めると、必ず別な部位がサポートしようとする能力があると思いますが、リハビリする時は、逆に、その能力を遮断しなければならないということなのですね。

ヤムナ:2つ目の重要ポイントは、術後の対応についてです。術後3週間くらいで膝が痛くなり始めました。その影響は、足首、足に及びます。これは、手術前の股関節、膝の動きの癖が残っているためであることが分かりました。新しい関節の位置に対して膝から下までアライメントを調整しなければなりません。整形外科医は股関節のみに意識が向かい、膝を整えることについてはほとんど考慮しません。膝を整えることはとても重要になります。同時に、手術をしていない側の股関節も調整すべきです。反対側の股関節も癖のある動きをしている人が多いので、片側を手術した人は、10年以内に反対側を手術しなければならなくなるケースが多いのです。

――やはり、股関節を手術した場合には、膝、足首、足への連動性を重要視しなければいけないということですね。

ヤムナ:3つ目は、股関節手術後のトレーニングテーマについてです。可動域を重要視する人は多いと思いますが、優先課題とすべきなのは、新しく置換した股関節に対して周辺筋肉を「再教育」することだと思います。プログラムでは、そのことを重要視する内容になっています。適切な骨格の位置で筋肉を強化しなければ関節を機能的に動かすことは難しいですから。特に大切なのが、深層外旋筋といわれる股関節深部にある6つの筋肉を活性化させて、関節を安定させることです。

――では最後に、4つ目の重要ポイントを教えてください。

ヤムナ:股関節を痛めると、床の上での動きや運動は難しくなる場合は多いです。高さのあるベッドなどを利用してリハビリを行うと非常に有効になりますし、安全性も高まります。私自身も、もう怪我はしたくないので多くのことを学びました。同じような悩みを持っている人に少しでも役に立てればと思います。最後にお伝えしたいのは、すべての人の身体には、内在する自然治癒力が備わっているということ。それを意識的に呼び起こすことができれば、それらの力はより強く働きます。身体の一部に不調が生じると、そればかりに意識が集中しがちですが、真の回復のためには常に全身の調和が必要であることを覚えておいてください。

今回のプログラムでは、ボール以外に、ゴムバンドが効果的ツールとして採用されている。

ゴムバンドを使用することで、反対側の脚の働きをブロックして患部側のトレーニングを有効に実践できる。
プログラムには、ボールを使ったYBR(ヤムナボディローリング)メソッドも組み込まれている。
股関節を痛めている人向けには、ベッドを利用することで有効かつ安全性が高くなるメソッドが多くある。