――「骨に直接アプローチする」ことのメリットをいろいろ紹介してきましたが、今回は鎖骨をターゲットにします。鎖骨はどんな役割を担っている骨なのでしょうか?
鈴木:鎖骨は肩と胸を繋ぐ細長いS字状の骨で、腕を自由に動かせるための橋のような役割をしています。鎖骨にストレスがかかる状態になると、さまざまな不調の原因になります。
――鎖骨にストレスがかかる状態とは?具体的に教えていただけますか。
鈴木:典型的な事例は、猫背です。頭が前に出る姿勢になってしまうので、巻き肩にもなり、鎖骨は内側に圧迫されます。そうすると胸が潰されてしまい、肋骨の動きも制限され、呼吸動作も低下します。
――鎖骨へのストレスは、肺の働きにも関係してくるのですね。肩や首にも悪影響がありそうですが。
鈴木:その通りです。鎖骨の外側は肩甲骨と繋がっているので、猫背により鎖骨にストレスがかかった状態では肩の動きも悪くなります。この時、肩甲骨は前側に押し込まれてしまうので、肩の動きだけでなく、首の動きにも悪い影響が出ます。
――対処法としての具体的なワークを教えてください。
鈴木:ボールで鎖骨に直接アプローチして刺激を与えることで、首と肩を解放して、スムーズな動きを取り戻しましょう。メソッドを紹介します。
<鎖骨を刺激して外側に広げるメソッド>
●使用するボールは、ブラックボールまたはパールボールを推奨します。最初に右側の鎖骨へのアプローチを行います。
●うつ伏せになり、左右の鎖骨の間、身体の中央部分にボールを入れます。右腕は外側に伸ばし、左手でボールを押さえておきます。
●顔を左側に向けて、左手でボールを右鎖骨に当て、右外側方向に押しながら深い呼吸をします。息を大きく吸って、次に吐きながら身体はボールに沈み込むように圧をかけます。この時、左手はボールを右外側に押している状態です。呼吸は、5〜6回行います。
●次にボールの位置を右鎖骨の中央手前に移動し、同じように深呼吸を5〜6回行います。ボールは骨に密着させてください。左手はボールに添えたまま鎖骨を右外側方向に押し出すようなイメージで軽く力を加えます。
●次にボール位置を右鎖骨の中央に移動。同じように5〜6回深呼吸します。ボール位置を中央外側、右外側の端でも、それぞれ同じように5〜6回深呼吸を行い、右鎖骨について終了。●左鎖骨でも、右鎖骨の一連の動きと同様の動きを行い、全体のワークが終了です。
鎖骨を刺激して外側に広げるメソッド
