Fb Ig Yt
24.04.01

<骨にアプローチ、その効果#3> 骨にアプローチすること、それが結果的に筋肉全体をリリースすることにつながります。 

ヤムナメソッドは、骨に直接アプローチします。骨を刺激することによって得られるさまざまな効果を、ヤムナ資格トレーニングティーチャー鈴木智さんに解説してもらいます。
SHARE
CREDITS
title calligraphy_Yamuna Zake  text_Ken Ishida

――第1回「骨格のアライメントを整える」、第2回「骨の質を高める」に続いて、今回はどんなテーマを教えていただけますか?

鈴木:今回は「骨にアプローチすることが、結果的に筋肉全体をリリースすることになる」、そのメカニズムを解説します。骨の周りには、あらゆる筋肉が付いています。骨と筋肉をつなぐ部分が腱になりますが、腱から筋肉に移行する部分にゴルジ腱器官という感覚器があるのをご存知ですか?

――ゴルジ腱器官? 耳慣れない言葉ですね。どんな働きをするのですか?

鈴木:大きく2種類の役目を持っていて、一つは、関節への負荷や曲がり方などを感知して運動感覚を得ること、もう一つは過剰な力によって腱や靭帯が損傷しないための安全装置の働きをします。つまり、筋肉のテンションは、このゴルジ腱器官によってコントロールされているのです。

――では、筋肉をゆるめたり、緊張させたりというのは、自分の意思もありますが、ゴルジ腱器官の指令による要素も大きいということですか?

鈴木:その通りです。ヤムナのメソッドは、ゴルジ腱器官の反応を利用しています。ヤムナは、ボールによって骨にアプローチしますが、ほとんどの骨には腱が付着し、そして筋肉があります。ワークを進めていく時、まずボールを骨そして腱に当ててしばらく待ちますが、これは、ゴルジ腱器官が反応して筋肉全体がゆるむのを待っているのです。ゆるんだ瞬間に少し圧を強めたり、次のポイントに移ったりしているのです。ゴルジ腱器官が反応して、筋肉がゆるむ瞬間の感覚を自分で感じとってワークを行うと、より良い効果が得られると思います。

――ヤムナのどのワークも、最初にボールを身体に当てて、そのまましばらく待つという手順になっている意味が良くわかりました。

鈴木:第1回で「骨格のアライメントを整える」という効果の話をしましたが、筋肉と腱が反応して全体をリリースしなければ、骨を正しい位置に整えることはできません。また、肉離れなどのケガは、ゴルジ腱器官がある腱から筋肉への移行部分に発生することが多いのですが、リリースする反応を確認しながら筋肉全体をまんべんなく引き伸ばすことで、腱と筋肉に柔軟性を持たせて機能を改善します。オーバーストレッチやケガのリスクも軽減します。

――いずれにしても、骨、腱、筋肉は、相互に密接に関係しているということですね。

鈴木:私は「骨」「腱」「筋肉」に、弦楽三重奏のチェロ、ビオラ、ヴァイオリンの関係性のようなイメージを持っています。例えばベートーヴェン作曲「弦楽三重奏曲 第2番 ト長調」を聴いてみてください。名曲です。チェロ、ビオラ、ヴァイオリンは、それぞれが独自の旋律を奏でますが、全体は見事に調和が保たれます。「骨」「腱」「筋肉」も、それぞれ独自の重要な役割を果たしつつ身体全体の調和を絶妙に保っているのです。